【大田区のハナシ #7】「花火のハナシ」

全国津々浦々、いろんなところで花火大会の行事が行われます。
夏の風物詩として楽しまれている方は多いと思います。
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大田区では、毎年8月15日になると、多摩川下流の河川敷を会場にした花火大会が催されます。
こちらは、いわゆる全国花火大会のようなものではなく、大田区が主催するものです。

1984年8月15日に、大田区は平和都市宣言というものを行ったそうです。
骨子は、実はよくわかりませんが、『平和憲法を擁護し、核兵器のない平和都市であることを宣言する』ものだそうです。
それから30年余り、毎年8月15日には、大田区平和都市宣言の記念事業として「花火の祭典」と題したイベントを行うようになりました。

5000発から7000発もの花火が、約40分ものあいだ打ち上げられ、胸躍る瞬間を味わえます。
打ち上げ地点から観覧する場所までが近い(地響きのように振動が伝わることも)、全身で浴びるような花火の音、子気味いいテンポでの打ち上げなど、かなりの臨場感で観覧できます。
場所によっては、玉皮(花火玉の表面)のかけらが風に乗ってばらばらと降ってくることも。楽しいアクシデントです。

大田区の行事なので他には宣伝されることはなく、大田区報などでの開催を確認することになるのですが、隣接する他県や元大田区民の方々も押し寄せ、いつもは閑散とした会場最寄り駅は混迷の極みと化し、点在するコンビニ、スーパー、商店などはこの日1日で年間の売り上げを稼ぐといわれています。

決められた観覧区画に、シートなどで場所を取り自由に観覧するスタイルで、升席みたいにお金が発生するシステムはないと記憶しています。
近隣の住宅はおろか、多摩川対岸の川崎の高層マンションも、この花火が観覧できるロケーションを不動産のウリにするのですから、地元に根付いた一大イベントと言って間違いありません。
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この数年、「花火の祭典」での花火は中止を余儀なくされています。
記録的な豪雨から始まり、コロナの蔓延などが大きな原因です。
式典での花火自体は、中止が珍しい催しとして有名ではありました。
今回の連続での中止以前は、本当に数えるほどしか中止をしたことがありませんでした。

すでに今年令和4年の「花火の祭典」での花火打ち上げは中止が決定しています。
こちらは企業・個人のボランティアで運営されていたようですので、もしかしたら資金難もあるのかも知れません。
些少の寄付はしていたのですが、このまま行事が廃れてしまうのは非常に寂しいです。

紹介

ーー東京都大田区。 大田区で育ち、大田区に魅入られた者が、文筆活動をつうじて大田区の魅力を勝手にお伝えいたします。